
音楽葬とはどんな葬儀?流れと併せてマナーや注意点もチェックしよう

「音楽葬ってどんな葬儀なんだろう」
「音楽葬を依頼するとき、どんな葬儀社が良いんだろう」
このように、音楽葬に対して疑問や悩みを持っている方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、音楽葬の基礎的な知識、音楽葬と一般葬の異なる点、流れやマナー、メリットやデメリット、葬儀社を選ぶときの注意点などについて解説していきます。
この記事を読むことで、自身が音楽葬を行う場合の必要な知識、音楽葬のやり方、いざ参列する立場になった場合のマナーや注意点も理解できるため、慌てることなく対処することができるでしょう。
音楽葬を検討している方や、音楽葬について詳しく知りたい方は、是非この記事を参考にしてみてください。
音楽葬はどんな葬儀?
音楽葬とは、故人が生きているときに好んだ音楽を、CDや生演奏などで流しながら行う葬儀です。一般的な葬儀のように流れが決まっていないため、宗教などに捉われず自由な形式で葬儀を行えるのが特徴です。
現代では、葬儀の行い方も多様化しており、オリジナリティーを表現できる音楽葬のニーズも増えていると言われています。
使用される音楽の種類は、故人の趣味によって選曲も様々で、クラシック音楽をCDで流したり、ロックバンドのライブ演奏、合唱団を派遣して生演奏したりするケースもあります。
音楽葬と一般的な葬儀の違い
一般の葬儀の場合、僧侶を呼び、宗派や宗教によって定められた流れで進行します。
このような一般葬の場合も、式の一部分に音楽を取り入れることは可能ですが、音楽葬のように自由な形式で音楽を取り入れることは難しいでしょう。
しかし、宗教や宗派に捉われない音楽葬であれば、自由な形式で自分らしさを表現できます。そのため、葬儀で流れる曲や音楽を通して、遺族や参列者の心に故人との思い出を色濃く残すことができるでしょう。
音楽葬が選ばれる理由
音楽葬のような自由葬が広まった背景には、個人を尊重する思想が世間に浸透したことが理由として挙げられると言われています。
以下で、音楽葬の3つのメリットについて紹介しましょう。
御布施などの費用を用意しなくてすむから
御布施とは、葬儀の際の読経や戒名へのお礼として僧侶に渡すお金のことです。
しかし、自由葬である音楽葬に宗教や宗派はなく、僧侶を招いて読経してもらったり、戒名を授けてもらったりする必要もありません。
そのため、一般的な葬儀のように御布施などを用意する必要がないことも、音楽葬のメリットと言えるでしょう。
故人の希望に沿った葬儀にできるから
本人が音楽葬での弔いを望んでいる場合、生前に意思や考えを遺族に共有しておくことで、希望に沿った葬儀を行えるでしょう。
音楽葬では、宗教や宗派に従うことなく葬儀を行えるため、好きな音楽を流すだけではなく、祭壇や飾り付けなども、本人の希望に合わせることが可能です。
記憶に残りやすい葬儀になるから
音楽葬は、遺族や参列者の印象に残る葬儀にできることも大きなメリットの一つです。
葬儀中に音楽を流すことで、故人、遺族、参列者の記憶や思い出がつながり、その音楽が故人のイメージとして定着すると言われています。
そのため、葬儀後にその曲を耳にしたときなど、遺族や参列者が故人を思い出すきっかけにもなるでしょう。
音楽葬のマイナスな点は?
自由な形式で葬儀を行えることは音楽葬の魅力の一つですが、一般的な葬儀とは異なる形式のため、戸惑う方も多く見られます。
周囲の理解が得られなかったり、式場が音楽葬に対応していなかったり、葬儀内容によっては費用が高額になったりすることは、音楽葬のマイナスな点と言えるでしょう。
音楽葬で送って欲しいと考えているのであれば、このようなマイナス面も考慮した上で、どのような葬儀にするのか検討しましょう。
以下では、音楽葬を行う際、特に注意した方がよい点を紹介していきます。
式場が音楽葬に対応していない場合がある
複数の式場がある葬儀社では、他の葬儀も行われているため、音楽を流すことによって迷惑をかけてしまう可能性があることから、音楽葬ができない場合があります。
近年では、音楽葬に対応している葬儀社も増えていると言われていますが、トラブルを未然に防ぐためにも、事前に葬儀社へ確認しておくことをおすすめします。
周囲の人に受け入れてもらえない
音楽葬は一般的な葬儀の形式とは異なるため、周囲の人が納得しない場合もあるでしょう。
特に、従来の葬儀が主流で行われていた年代の方からは、理解を得ることが難しいと考えておきましょう。
対策としては、事前に家族や周囲の方に、「音楽葬を行いたい」旨を伝えておき、遺言書やエンディングノートにも「音楽葬で葬儀を行うこと」と書き留めておくことで家族への負担を軽くできるでしょう。
音楽葬の流れ
音楽葬は、宗教に従わずに自由な形式で行われるため、決まった式次第はありません。一般的な葬儀と変わらず、お通夜と告別式で2日間行うこともあります。
音楽葬で流れる音楽も、故人の趣味によって様々で、式の流れもそれぞれで異なります。
注意が必要なのは、仏式の葬儀に音楽葬を取り入れる場合です。宗教や宗派によっては、避けるべき音楽があり、そもそも音楽葬を禁止している場合もあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
あくまで一例にはなりますが、下記で仏式の場合と無宗教の場合における音楽葬の流れについて紹介していきます。
無宗教の場合
無宗教の場合、仏式と違い、読経や焼香などの宗教的な儀式がありません。一例ではありますが、告別式の音楽葬の流れは以下の通りです。
・開式前に式場ロビーに故人の好きだったBGMを流す
・開式の辞
・黙とう
・故人の紹介
・遺族、参列者による弔電棒読
・献奏、献花
・喪主による挨拶
・閉式
・献花
・出棺
仏式の場合
仏式で音楽葬を取り入れた場合の流れです。読経、焼香などの宗教的な儀式はありますが、基本的な流れは無宗教とほとんど変わりません。
こちらも一例ですが、告別式の流れは以下の通りです。
・開式前に式場やロビーに故人の好きだったBGMを流す
・開式
・読経
・遺族、親族焼香
・参列者焼香
・弔辞、献奏
・読経
・閉式
・献花
・出棺
音楽葬ではいつ音楽を流す?
基本的に、音楽を流すタイミングは、自由に決められます。
仏式の葬儀で音楽葬を取り入れる場合も、読経などの宗教的な儀式中以外であれば、特に決まりはありません。
開式から閉式までの間、音楽を流すこともできれば、参列者の印象に残るように、献花や故人の紹介、開式前などの場面ごとで、音楽を切り替えることも可能です。
音楽葬の著作権について
音楽葬を行う場合、特に注意すべき項目が著作権です。
行事などで楽曲を使用する際は、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に楽曲の使用料を支払う必要があります。
音楽葬の場合も、葬儀社とJASRAC間で楽曲使用の契約が結ばれておらず、無断でCD音源などを流してしまうと、著作権侵害になる恐れがあることを知っておきましょう。
トラブルを避けるためにも、事前にJASRACに確認をとっているのかを、葬儀社にしっかりと確認することをおすすめします。
著作権の許可が必要な場合
施設、店舗などで著作権のあるCDやインターネット配信の音源を流す場合、著作権の許可が必要になります。これは、生演奏する場合も同じです。
著作権のある音楽を施設や店舗で利用する場合は、それが私的な利用であっても、著作権の許可が必要になることを覚えておきましょう。
著作権の許可が必要ない場合
著作者が死後50年経ったものは、著作権の許可が必要ないため、自由に使用できます。
なお、自宅葬として行われる音楽葬の場合は、著作権のある音楽を使用しても著作権の侵害にはあたりません。これは、利用する対象者が遺族であり、楽曲の使用が営利目的ではないと判断されているためです。
著作権の許可が必要か判断できない場合は、JASRACに確認することをおすすめします。
著作権でトラブルを起こさないためには?
著作権でのトラブルを回避するために最も重要なことは、葬儀社とJASRACへの事前の確認です。
この確認さえしっかりとできていれば、希望通りの音楽で故人を送ることができるでしょう。
音楽葬で流したい音楽が決まったら、著作権の許可が必要か不要か、葬儀社がJASRACと契約を結んでいるかなど、しっかりと確認しておきましょう。
音楽葬の費用について
音楽葬の費用については、規模や内容によって異なるため、具体的な数字をはっきりと示すのは難しいでしょう。
自由葬の日本全国平均の費用は約147万円と言われていますが、音楽の演奏形式によって料金の変動も大きいため、あくまでも参考程度の金額と捉えておいてください。
たとえば、プロの演奏家に依頼した場合、一般的には一人あたり1日5万円前後が相場になるでしょう。
葬儀費用が気になる場合は、CDやDVDなどで音楽を流す方法や、知人や音楽サークルの方に演奏を依頼することで費用を抑えることも可能です。
自由葬には、望み通りの組み合わせができるメリットがある一方で、費用が高額になりやすいという側面もあるため、あらかじめ予算を決めた上で、葬儀社に提示することをおすすめします。
音楽葬のマナー
音楽葬は、一般的な葬儀とは異なるスタイルで行われるため、参列する立場になったとき、服装やマナーについて悩む方も多いでしょう。
音楽葬であっても、喪主の方からの特別な指定がなければ、基本的には従来の葬儀のマナーと変わりありません。
ただし、仏式の葬儀の一部としての音楽葬なのか、無宗教で行われる音楽葬なのかについては、事前に確認が必要です。
この葬儀の形式によって、香典の表書きや持ち物が異なります。
香典について
音楽葬のような自由葬の場合でも、香典を持参するのが一般的です。香典の金額も、一般的な葬儀で包まれる相場と同様になります。
なお、使用する香典袋については、蓮の花や十字架など、特定の宗教を連想させるものは避けましょう。
音楽葬では、「御霊前」や「御花料」と言った表書きが多く使用されていますが、仏式で行われる音楽葬であれば、「御香典」の表記で問題ありません。
服装について
喪主の方からの特別な指定がなければ、音楽葬も一般の葬儀と同じように、喪服で参列します。男性はブラックのスーツ、女性は黒のアンサンブルやワンピースです。
なお、「平服でお越しください」と案内されている場合は注意が必要です。
一般的に、「平服」とは「普段着」のことを意味しますが、葬式マナー上の意味では、礼服や略喪服のことを指していることを知っておきましょう。
音楽葬を行ってくれる葬儀社を選ぶときのポイント
遺族の方や参列者が満足できるような、故人や遺族が思い描く音楽葬にするためには、葬儀社選びが重要です。
ここからは、故人にとって一度きりの葬儀を失敗しないように、良い葬儀社を見極めるためのポイントを4点紹介して行きます。
- 音楽葬をやったことがあるか
- 説明は解りやすいか
- 著作権について理解しているか
- 質問に丁寧に答えてくれるか
音楽葬をやったことがあるか
自由葬である音楽葬は、徐々に広まりを見せてはいますが、音楽葬の経験がある葬儀社は多いとは言えないでしょう。
そのことを踏まえ、利用する予定の葬儀社では過去にどのような音楽葬が行われたのか、経験はどれくらいあるのかなどを確認しておきましょう。
葬儀社を選ぶ際は、希望する内容と事例を照らし合わせて、総合的に判断することをおすすめします。
説明は解りやすいか
お客様目線で親身になって説明できる葬儀社は、良い葬儀社だと判断できるでしょう。
反対に、スタッフが専門用語を多用して説明するような会社の利用は、どのようなジャンルでも避けた方が良いでしょう。
安心して任せられる葬儀社を選ぶために、説明の解りやすさに重点を置いてください。
著作権について理解しているか
音楽葬を行う際、問題として挙げられるのは著作権です。
葬儀社が音楽葬を行う場合、著作権は切っても切り離せない問題と言えるでしょう。葬儀社自体が著作権について正しく理解していなければ、トラブルの原因にもなります。
著作権に関して、うやむやな返答をされたり、的確な答えがもらえなかったりする葬儀社であれば、葬儀の依頼は避けた方が無難と言えるでしょう。
質問に丁寧に答えてくれるか
葬儀社選びで失敗しないための重要なポイントとして、スタッフの応対が挙げられます。
葬儀社には日常的なことであっても、一般の人にとっての葬儀は非日常です。分からないことや聞きたいことがあるのは当然のことと言えるでしょう。
少しでも気になったことや、細かな質問に対しても親切に答えてくれて、お客様に寄り添った接客ができる葬儀社は、良い葬儀社だと判断できます。
音楽葬で思い出に残る葬儀にしよう
一般葬と比べると、音楽葬は周囲の理解を得ることが困難な場合があります。
しかしながら、形式に捉われない自由度の高さや、故人の意思や願いを葬儀で叶えることができる魅力こそが、音楽葬が選ばれている理由と言えるのではないでしょうか。
生前に大好きだった曲で故人を送り出し、一生に一度きりの葬儀を思い出に残るものにしましょう。
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