「お墓のルーツは?」建てる前に知っておきたい歴史・意義を紹介
「お墓っていつの時代からあるんだろう?」
「お墓を建てる意味って?」
日本では、人が亡くなったらお墓を建てて弔うのが一般的です。お墓を建てる文化はいつから始まったのか、そして、お墓を建てる意味について気になる方も多いでしょう。
この記事では、お墓の由来について解説していきます。お墓の歴史やお墓に込められた意味をあわせて紹介します。
お墓の起源や歴史の知識を知れば、お墓を建てて故人を弔う理由がわかります。記事で紹介する墓石に込められた意味を理解することで、より心を込めて故人を弔うことができることでしょう。
お墓を建てる前に、お墓を建てる意味を理解しておきたいと思う人は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
いつからあった?お墓のルーツ・由来について
今の日本では、亡くなった人を弔うためにお墓を建てたり、お骨をお墓に埋葬したりすることが一般的となっています。わたしたちの暮らしとともにあるお墓ですが、そのルーツや由来はご存じでしょうか。
お墓はいつからあったのか、供養や埋葬の歴史についても触れながら解説していきます。いざお墓を建てたり、親しい人を弔うことになったりするときに備えて、お墓に関するルーツを理解しておきましょう。
お墓を建て始めたのは江戸時代ごろから
古代歴史においてのお墓のルーツでは、古墳時代の前方後円墳が知られているでしょう。ただし、この頃のお墓は天皇や皇族など身分の高い人たちの権力の象徴として作られました。そのため、現在のお墓とは意味合いが異なります。
日本で今のようなお墓の形が確立したのは、江戸時代中期ごろと言われています。当時幕府がキリシタン排除目的で作った寺請け制度によって、全ての住民がどこかのお寺の檀家にならなければならなかったことから、お墓を建てる習慣が浸透したと考えられるでしょう。
永代供養のルーツ
永代に渡って故人の供養をお願いするという意味では、永代供養は古くから存在していました。しかし、当時の永代供養の意味合いとしては、あくまでも祖先や亡くなった故人を供養することで、現在のような新しいお墓の形としての意味合いはなかったと言えるでしょう。
また当時、永代供養は単に遺骨を収蔵することとしてとらえられ、設備や埋葬方法なども粗悪だったため、永代供養の印象はあまりよくなかったと言われています。
日本で現在のような永代供養の形が浸透してきたのは、1990年ごろのことです。このころ日本では少子化が進み、お墓の跡継ぎがいないという悩みを抱える人が増えたことが背景にあったと考えられるでしょう。
その後2000年ごろになると、永代供養は寺院や霊園などによって供養の方法や納骨方法、設備の管理なども充実してきました。また後継者のいない方や生前にも契約できるなど、新しいお墓の形として確立してきたと言えます。
埋葬のルーツ
日本の埋葬のルーツは縄文時代と言われ、屈葬という体を折り曲げて埋葬する方法がとられていたと考えられます。また、以降明治時代までの埋葬法は土葬が主流であったとされています。
火葬が一般的となったのは明治以降火葬施設が増え始めてからのことで、現在、日本ではほぼ100%に近い火葬率となっています。これは、土葬での埋葬方法をとる国が多い中では珍しいと言えるでしょう。
また、本来埋葬とは遺体や遺骨を土に還すことを意味し、骨壺に入った遺骨をお墓に納める方法は厳密には納骨と言います。しかし、今は骨壺のままお墓に納めることも総じて埋葬と呼ばれることが多いでしょう。
お墓の持つ意味
亡くなった人の弔いや埋葬の行為は昔から行われていました。では、お墓を建てることにはどういった意味があるのでしょうか。
お墓は遺体や遺骨を葬ってある場所のことを指します。お墓は場所のことを表し、お墓があることを示す目印として墓標を設置することが一般的です。この墓標の役割を果たすのが、わたしたちがよく目にする墓石です。
お盆や帰省のタイミングでお墓参りに行く人も多いことでしょう。お墓参りのとき、多くの人はお墓に向かって手を合わせたり、語りかけたりします。お墓は故人をしのぶ場でもあり、かつ故人を身近に感じられる祈りの場でもあるのです。
墓石の部位に込められたそれぞれの意味
墓石はいくつかの部位にわかれて構成されています。墓石の部位にも一つ一つ大切な意味が込められているのです。ここからは、墓石の部位が持つ意味を解説していきます。
・石塔(せきとう)
石塔とは、お釈迦様を弔う仏塔のことです。仏塔の中でも石でできたものを石塔と言います。お墓は基本的に石でできており、墓石そのものも石塔と言えます。
・墓標・霊標(ぼひょう・れいひょう)
墓標にはいくつかの意味があります。墓石の裏などに、故人の名前や没年が彫られているのを見たことがあるかもしれません。これを墓標といいます。また、埋葬箇所に目印として建てる石や木の柱のこともまた、墓標といいます。
・外柵(がいさく)
漢字のとおり、外柵はお墓の周りの枠のことを意味します。隣の墓地との境界線の役割を果たすため、お墓にとってはとても重要な役割を果たします。お墓の下には骨壺を収める「カロート」と呼ばれる空間があり、それも外柵と分類されるものです。
・天水受(てんすいうけ)
天水受とは、寺院の本堂屋根の下に設置してあるものです。雨水を受ける用途を果たしています。「天」すなわち極楽浄土から降り注ぐ清らかな水を受け、お寺に眠る仏様を潤し、供養に訪れる人の心を清めてくれるとされています。
お墓を石材で建てる目的は?
お墓は基本的に石材を用いて建てられます。当たり前のようにお墓は石でできていると考えてしまいますが、石材で建てる理由や目的はご存じでしょうか。
ここからは、お墓を石材で建てる目的をくわしく解説していきます。目的や理由がわかれば、お墓参りのときにより故人を想ってしのぶことができるでしょう。
- 古代より石は神聖な意味がある
- 耐久性が高いため末永く残る
- 自然なぬくもりを感じられる石が適していると考えられた
1.古代より石は神聖な意味がある
石には古代から神聖であったり神秘的な意味合いがあります。わたしたちに身近なもので言うと、パワーストーンなどは神聖な意味を持っているとわかりやすいでしょう。
とくに日本でお墓を石で建てる理由は、日本の神話「古事記」のストーリーが由来だと考えられています。イザナギが黄泉の国の入り口に大きな石を置いたというエピソードがあります。このことから石は、あの世とこの世の境界線のような役割を持つと考えられてきました。
ほかにも、死者が地上に出るのを防ぐ役目だったり、死者と会話できる役割を持つとされてきました。
2.耐久性が高いため末永く残る
墓石の素材ですが、マグマが冷え固まってできた御影石と呼ばれる石材を使うのが一般的です。御影石は雨や風に強く、屋外での使用に適した石材です。そのため、耐久性の高い御影石で墓石が作られてきました。
お墓を建てるにあたって墓石の耐用年数はあるものの、150~200年は耐えると言われています。
一度建てたお墓は、その場所に末永く残ります。先祖代々のお墓として次の世代が引き継ぐこともあるでしょう。ご先祖様を永く供養するためにも、耐久性の高い石材がお墓として最適だと言えることでしょう。
3.自然なぬくもりを感じられる石が良いと考えられた
石には温かいイメージを持つ人も、冷たいイメージを持つ人もいるでしょう。たしかに石は冷えるととても冷たくなりますし、お墓の石に対して暗くて冷たいイメージを持つ人もいます。ですが、心で石のぬくもりを感じることもできます。
石は自然のものであるため、自然由来であることのあたたかみを感じられるものです。お墓は、故人とお参りに来た人をつなぐ役目を持っています。お墓の前で故人を想って手を合わせるとき、多くの人は心がじんわりとあたたかくなるのではないでしょうか。
石には、故人とわたしたちをつなぎ、心で会話する役割があるのです。
現代人がお墓を建てる意義
少子化や核家族化が進むなかで、お墓を建てる意義を見いだせない人も、現代の日本には多くいるでしょう。最近ではお墓以外の新しい供養の方法を検討する人も少なくありません。では、現代に生きるわたしたちがお墓を建てる意義はあるのでしょうか。
お墓は故人と家族をつないでくれるかけがえのない場所です。故人や先祖が眠るお墓に手を合わせることで、精神的なつながりを持つことができます。
大切な人が眠るお墓であれば、語りかける場にもなり得るでしょう。亡くなった人にとっての終の棲家となるのもお墓です。家族や先祖、子孫との関係をつなぐことがお墓を建てる意義と言えるでしょう。
現代は供養の手段をいろいろと選べ、お墓を建てない予定の人もいるでしょう。どうしてもお墓は建てられない、という人は永代供養を検討してみてください。
お墓を建てるにはまずルーツから!
お墓には、歴史に由来した大切な意味がたくさん含まれています。日本では人が亡くなったらお墓に埋葬することが常識のようになっていますが、今一度、お墓のルーツを知って供養の方法を考えるのもいいでしょう。
大切な人が亡くなったときに気持ちを込めてお墓を建てるために、お墓のルーツを理解することが大切です。すでにお墓がある人も、改めてお墓の意味を知ることができました。
故人と自分をつなぐかけがえのない場所であることを意識してお参りすれば、よりお墓という存在のぬくもりを感じられることでしょう。
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