
相続法改正のポイントは何?背景・経緯と内容・施行時期を詳しく解説

「相続法が改正された事にはどんな背景がある?」
「相続法の改正の内容のポイントとは?」
「改正相続法が施行されるのはいつからなの?」
このように、相続法改正のポイントについて詳しく知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、相続法改正の背景やその経緯、相続法改正の内容のポイントなどを紹介しています。この記事を読む事で、相続法改正のポイントについて把握できるでしょう。
また、改正相続法の施行日がいつになるのかについても紹介するため、いつから改正相続法が施行されるのか知りたい人も参考にできます。
相続法改正のポイントについて詳しく知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
相続法改正の背景と経緯
相続法とは、親が亡くなった場合など相続が発生した際に効力を持つ法律です。相続法は約40年間改正されませんでしたが、2018年7月に相続法の大改正が行われました。
相続法改正の背景としては、近年の日本の少子高齢化の進展や、社会経済情勢の変化に伴い、相続法の見直しが必要とされたためです。相続は将来、多くの人に訪れる可能性があるため、相続法改正の内容についてよく理解しておく事が大切だと言えるでしょう。
出典|参照:民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)| 法務省
相続法改正内容のポイント
相続法の改正により、相続法は大きく変更になった部分があります。相続は多くの人が一生に一度は経験する可能性があるため、相続法についての正しい理解が必要でしょう。また、理解していないとトラブルに遭う可能性があります。
ここでは相続法改正内容のポイントについて解説していくため、具体的にどのような内容になっているのか参考にしてみてはいかがでしょうか。
・配偶者居住権と配偶者短期居住権の新設(2020年4月施行)
・配偶者に居住不動産を生前贈与した場合の特例(2019年7月施行)
・自筆証書遺言添付の財産目録がパソコン作成可能(2019年1月施行)
・法務局での自筆証書遺言の保管制度の創設(2020年7月施行)
・遺留分侵害は遺言等の対象財産返還でなく金銭支払いに(2019年7月施行)
・遺産分割前の預金の一部払戻し制度の創設(2019年7月施行)
・被相続人の親族による特別寄与制度の創設(2019年7月施行)
・相続後の不動産の名義変更は速やかに行う必要がある
配偶者居住権と配偶者短期居住権の新設(2020年4月施行)
「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」は、2020年4月に相続法に新設されました。
配偶者居住権とは、被相続人が住んでいた建物を終身、または一定期間無償で配偶者が使用できる権利です。また、配偶者短期居住権は自宅相続者の確定日まで住める権利となっています。
改正前の相続法では、夫名義の自宅に住んでいた妻が遺産分割協議の際に不動産を取得できなかった場合、住む場所を失う可能性がありました。しかし相続法改正によって、居住の権利が保護されるようになりました。
出典|参照:配偶者居住権の新設|法務省
配偶者に居住不動産を生前贈与した場合の特例(2019年7月施行)
相続法に「配偶者に居住不動産を生前贈与した場合の特例」ができた事により、20年以上婚姻している配偶者に住んでいる建物や敷地を生前贈与した場合、特別受益があったものとして取り扱わなくなりました。
特別受益では、遺産を先に受け取っていたものとみなされるため、遺産分割での取り分が減ります。しかし相続法改正によって配偶者への建物などの生前贈与を特別受益として取り扱う必要がなくなったため、配偶者の遺産の取り分が増える事になりました。
自筆証書遺言添付の財産目録がパソコン作成可能(2019年1月施行)
相続法の自筆証書遺言の方式緩和により、自筆証書遺言における財産目録をパソコンで作成する事が可能になりました。
相続法改正前は全文を自筆で作成する必要がありましたが、改正によってパソコンを使用したり、通帳のコピーを添付したりする事も可能になりました。ただし、財産目録の各ページに署名押印をする必要があります。
出典|参照:自筆証書遺言の方式緩和|法務省
法務局での自筆証書遺言の保管制度の創設(2020年7月施行)
相続法に「法務局での自筆証書遺言の保管制度」が創設された事により、自筆証書遺言の保管を法務局に申請できるようになりました。
法務局で保管されている遺言書については、被相続人の死後、被相続人が保管されているかどうか調べたり、写しの交付を請求したりする事が可能です。
遺留分侵害は遺言等の対象財産返還でなく金銭支払いに(2019年7月施行)
相続法で遺留分制度の見直しが行われた事により、遺留分侵害は遺言により対象の財産を返還するのではなく、金銭で遺留分侵害額に相当する額を請求できるようになりました。
なお、遺贈や贈与を受けた側がすぐに金銭を準備できない場合は、支払い期限の猶予を裁判所に求める事が可能です。
出典|参照:遺留分制度の見直し|法務省
遺産分割前の預金の一部払戻し制度の創設(2019年7月施行)
相続法改正により、「預貯金の払戻し制度」が創設されました。これにより、相続人は遺産分割が完了する前でも預金の一部を受け取る事ができるようになりました。
以前は遺産分割の終了まで預貯金の払い戻しはできませんでしたが、改正によって各相続人の資金ニーズに対応した払戻しが可能です。
出典|参照:預貯金の払戻し制度の創設|法務省
被相続人の親族による特別寄与制度の創設(2019年7月施行)
相続法に「特別の寄与制度」が創設された事により、相続人以外の被相続人の親族が無償で療養や看護などを行った場合、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。
改正前の相続法では、相続人以外の人が被相続人の介護をしたとしても遺産を相続する事はできませんでした。しかし相続法改正により、介護の貢献に対して公平に金銭が請求できるようになっています。
出典|参照:特別の寄与の制度の創設|法務省
相続後の不動産の名義変更は速やかに行う必要がある
相続の効力に関する見直しが行われ、遺言を作成したとしても、相続分を超える部分は登記を行わなければ権利を第三者に主張できなくなりました。
そのため、相続後の不動産の名義変更などは速やかに行いましょう。
改正相続法の施行日
改正された相続法のほとんどは2019年7月1日に施行されていますが、施行時期については改正内容によっても異なります。
しかしこれらの項目は、2019年1月から2020年7月の間に順次施行済みです。
相続法改正のポイントを理解しておこう
相続法改正により、相続の際のルールが大きく変わった部分もあります。
ぜひ本記事で紹介した相続法改正の背景や相続法改正内容のポイントなどを参考に、相続法がどのように変わったのか理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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