
供養塔のタイプとは?墓石との違いや費用相場について詳しく紹介

「お墓の代わりに供養塔を建てても大丈夫?」
「供養塔はいくらくらいで建てられるの?」
供養塔に関して、このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
供養塔は墓地や史跡、庭園などさまざまな場所で見かけられますが、通常のお墓とは形がまるで異なります。
この記事では、供養塔のタイプ、それぞれが造られた時期、なぜ造られたのか理由や目的を説明するとともに、建立にかかる費用の相場、供養塔を建てるきっかけになる出来事についても紹介しています。
記事を読むことで、供養塔の持つ意味を理解でき、個人で建てる際に選ぶタイプや必要となるおおよその金額が分かるでしょう。
供養塔を建立して故人の供養をしていきたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
そもそも供養塔とは?
供養塔(供養碑)とは、亡くなられた方が安らかに眠れるよう供養のために建てられた塔です。墓地やお寺のほか、戦争や災害などで大勢の方々が亡くなられた場所にも見られますが、石碑や慰霊碑、弔魂碑とは異なります。
供養塔の原型と言われているのは、サンスクリット語で塔婆や塔を表すストゥーパです。ストゥーパはお釈迦様が荼毘に付された後に造られた仏塔で、さまざまな形に変化しながらアジア各地へ伝わりました。
墓石との違い
墓石は○○家之墓というように文字が刻まれ、家族や親族単位の墓地に使用しますが、供養塔は合祀墓と同じように大勢の方の遺骨が一緒に埋葬されます。
お墓と違うのは、引き取り手のない遺骨や身寄りのない遺骨を納めて供養できる点と、建立されている場所の管理者や自治体及び団体によって管理されている点です。
ただし、お墓の傍に個人で建てた供養塔の場合は、血縁関係のある遺骨のみを納め、家族や親族で整備していきます。
供養塔のタイプ
一口に供養塔と言っても種類によって形状はまるで違い、それぞれに意味があります。同じタイプの供養塔でも、仏教の宗派により意味が異なる場合もあるでしょう。
ここからは、主な5種類について名前の由来や形状、供養塔の意味などを解説していきます。
無縫塔
名前のとおり縫い目のない卵型の石が使われている供養塔で、卵塔とも呼ばれます。形は基礎と請花と呼ばれる花形の飾り、卵型の塔身で作られたタイプと、基礎と請花の間に台座や中台が使用されたタイプの2種類が主です。
僧侶のお墓として使用されていたことから、古いお寺では歴代住職の遺骨を納めた無縫塔が並ぶ光景も見られます。江戸時代以降は僧侶以外のお墓として、さまざまな宗派で使用されるようになりました。
宝篋印塔
宝篋印塔は相輪と呼ばれる特徴的な部分を含め、4つのパーツで構成されている供養塔です。かつては、宝筐院陀羅尼経の写経を納める塔として造られていました。
このお経には宝篋印塔を礼拝供養することにより果報が得られると説かれています。
日本で造立された時期については諸説ありますが、鎌倉時代の中頃から全国に広まり個人のお墓にも使用されるようになりました。
石塔婆
鎌倉時代から室町時代にかけて関東地方で多く造られており、埼玉県には秩父青石と呼ばれる石材を採掘した板石塔婆石材採掘遺跡もあります。
てっぺんは山形で上部に主尊が梵字で刻まれ、その下に造立の趣旨や供養者名などを記しているのが特徴です。
石塔婆の名は、お釈迦様のお墓「ストゥーパ」の読み方が変化したとされていて、板碑、板石塔婆、板石卒塔婆や、加工に使用する緑泥石片岩の色から青石塔婆とも呼ばれています。
五輪塔
五輪卒塔婆、五輪解脱とも呼ばれ、平安時代頃から供養塔やお墓として使われてきました。五輪塔を建てる際に使われるのは宝珠形、半月形、三角形、球形、四角形の石です。
これら5つの形は、古代インドで宇宙の構成要素と言われていた空、風、火、水、地を表しており、下側を地として順番に並べられます。
石に彫刻する文字は宗派ごとに異なり、真言宗では5つの要素を表す梵字、天台宗、日蓮宗では妙法蓮華経が一般的です。
多宝塔
多宝塔の名の由来はいくつもの層が重なっている、多宝如来と釈迦如来を祀っていたという2つの説があると言われています。
石造りの多宝塔も見られますが、お寺にある端が反った四角い屋根と相輪が特徴的な塔型の木造建築物も多宝塔と呼ばれます。
多宝塔様式は四角い下層部分と、円形の上層部分を組み合わせるため高い技術が必要です。大阪府の慈眼院、滋賀県の石山寺など、全国には国宝に指定されている木造の多宝塔があります。
供養塔の費用相場
供養塔を個人で建てる場合の費用は、建立場所をはじめ種類、大きさ、デザイン、使用する石材といった条件によって違います。
供養塔でよく見られる五輪塔にかかる価格の相場は40万円~150万円程度で、細やかな装飾が施されている宝篋印塔や多宝塔にかかる費用はさらに高めです。
また、水子供養塔として用意するお地蔵さんの値段も、数万円~数十万円程度と幅広いでしょう。
どのような場合に供養塔を建てるの?
平和記念公園や戦国時代の古戦場跡など、大勢の人を供養する目的で建てられている供養塔ですが、個人で必要となるケースもあります。
ここからは、どのような場合に供養塔を建てる必要性が出てくるのかを詳しく見ていきましょう。
永代供養する場合
継承者がいない、継承する人物がお墓から離れた場所に住んでいるといった事情により、長年守り続けてきたお墓を維持できない場合、供養塔を建て永代供養にする方法を選択することも可能です。
永代供養にすると永代供養塔が建立されている場所の管理者側に管理を任せられるため、後々のことを心配せずにすむでしょう。このほかに、大勢の遺骨を納めて供養する合同供養塔、合祀墓を選ぶ方法もあります。
先祖を手厚く供養する場合
先祖を手厚く供養する方法として、お墓の傍へ新しく先祖供養塔を建てる場合があります。スペースに余裕がある場合はお墓と同程度の大きさの供養塔を並べて建てられますが、少ない場所では小型のものになるでしょう。
また、長い期間雨や風にさらされ、刻まれた名前が読めなくなるほど劣化してしまった古いお墓に眠る先祖のために、新たな供養塔を用意するケースも見られます。
お墓をまとめる場合
先祖の眠るお墓がいくつも建てられている場合、供養塔を建ててお墓を一つにまとめ、容易く管理できるようにすることがあります。劣化の激しい古いお墓は崩れる危険もあり、継承し続けていくのはなかなか難しいでしょう。
同じ場所にあるお墓に限らず、異なる場所に建っているお墓をまとめ、建立した供養塔に合祀することも可能です。離れた場所にあり手入れが行き届かないお墓も、供養塔にまとめればしっかり供養できます。
本家・分家に分かれている場合
明治時代の家制度の下では本家と分家に分かれている家の場合、本家がお墓を継承し管理していくのが一般的で、分家では先祖の供養ができませんでした。
そこで、お墓を持たない分家でも先祖供養ができるよう建てられるようになったのが供養塔です。
供養塔は分家がお墓を建てる際にも建てられ、上座に本家のご先祖を供養する供養塔、下座に塔よりも高さの低いお墓を作るとされています。
供養塔について知っておこう
供養塔は種類によって広まった時代、建てられた意味、特徴が違います。どの供養塔も火葬した後に遺骨を納骨するためのお墓とは異なりますが、故人の供養を目的としている点は共通です。
建てる際にどのタイプがふさわしいか判断するには、供養塔に関する知識を深めておく必要があります。
先祖を敬う気持ちが伝わる供養塔を選べるよう、本記事を活用して知識を得ておきましょう。
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