
改葬許可証に関連する7つの情報とは?申請に必要な書類や墓じまいの流れも解説

「お墓を改葬するためには、どんな手続きが必要なんだろう?」
「墓じまいをするために必要な書類や、墓じまいの流れを詳しく知りたい」
このように、お墓の移設や墓じまいについて疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、改葬に必要となる改葬許可証に関連した情報を7つピックアップして、詳しく説明します。改葬に必要な各種書類について解説するとともに、現在のお墓を整理する墓じまいの流れについても解説していきます。
この記事を読むことで、改葬をするために必要な書類の内容と手数料などが理解できます。他にも、後でトラブルにならないために、現在のお墓を管理する霊園や寺院に十分な理解を得てから進めることや、墓じまいに関連した細かい進め方についても把握することが可能です。
お墓の移転や墓じまいを考えている方は、是非この記事を読んで参考にしてください。
改葬とは?
改葬とは分かりやすく言えばお墓の引っ越しで、現在のお墓にある遺骨を取り出して納骨堂や他の墓地に移動することを意味します。改装後は現在のお墓は墓じまいして墓地の区画を管理者に返還し、更地に戻すことも必要です。
改葬は「墓地、埋葬等に関する法律」に基づく行為のため、市町村長から許可を得て行わなければならず、違反すれば罰則もあります。ライフスタイルの変化に伴い、近年改葬が行われる件数は増加傾向にありますが、違反してしまわないように注意しましょう。
改葬には改葬許可証が必要
昭和23年に制定された「墓地、埋葬等に関する法律」によると、改葬を行おうとする者は厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければならないことと、市町村長が改葬の許可を与えるときは、改葬許可証を交付しなければならないことが明記されています。
そのため改葬許可申請書や受入証明書、埋葬証明書の書類をそろえて、墓地がある市町村の役所に申請することが必要です。
改葬許可証に関連する情報
改葬許可証は、墓じまいや改葬をする際に必ず必要となる書類で、現在お墓がある自治体で適切に手続きをする必要があります。一見面倒そうに思えても、それほど難しい作業ではありません。
ここでは、改葬許可証に関連するさまざまな情報を説明します。手続きに必要な書類や申請先について正しく理解して改葬を行ってください。
改葬許可証の申請先
改葬許可申請書は、現在遺骨を埋蔵している墓地や納骨堂がある市区町村の担当課に提出します。市区町村によって担当する課の名称が違うため、事前にホームページや窓口で確認してください。
火葬後に自宅で保管していた遺骨を墓地や納骨堂に埋蔵するケースでは、届け出をする必要がありません。
郵送での申請
自治体によっては、改葬許可証を郵送で申請することができます。必要書類を同封して市役所の担当課まで郵送すれば受け付けてもらえるため、時間が合わない場合は郵送での申請を検討してください。
以下で説明する申請に必要な書類に加えて、郵送の場合は戸籍謄本または除籍謄本を同封する必要があります。詳しい内容は、各市区町村に確認の上で郵送することが大切です。
申請に必要な書類
改葬許可証の申請には、3種類の書類が必要です。
これらの書類は、各市区町村のホームページから簡単にダウンロードできるケースが多いですが、申請書の名前や内容が自治体ごとに異なる点もあるため、事前にチェックすることをおすすめします。
不明な場合は、直接自治体の担当課に行って確認することが大切です。内容を確認した上で、必要事項を正しく記載して提出してください。
埋葬証明書
現在遺骨を埋葬している墓所の管理者から、この墓地に誰の遺骨が埋葬されているかを証明してもらうために発行してもらう書類が埋葬証明書です。自治体や地域によっては発行手数料がかかる場合もあるため、ホームページなどで確認しておきましょう。
受入証明書
現在の墓地から新しい場所に移動する改葬では、改葬先の墓地の管理者から受入証明書を発行してもらう必要があります。基本的には受入証明書を発行してもらう手数料はかからないため、移転先のお墓の管理者に事前に確認して申請してください。
改葬許可申請書
改葬をする場合は、現在遺骨を埋めている墓地を管理している霊園がある市町村長の許可が必要で、自分勝手にお墓を移すことは禁じられています。許可を得るためには、管轄の市区町村の担当課へ改葬許可申請書の提出が必要です。
記載する内容は、埋葬する方の本籍および住所、氏名を記載した上で改葬の理由と改葬場所を記入します。
遺骨1柱につき1枚必要
改葬許可証は、遺骨1柱につき1枚の申請書を記載しなければなりません。例えば墓じまいを検討しているお墓の中に先祖の遺骨が5つあれば、改葬許可証は5通申請する必要があるため注意しましょう。
正しく申請しなければ改葬許可証が交付されないケースもあるため、事前に改葬する遺骨の数を確認しておいてください。
改葬許可証の交付期間
改葬許可証を管轄の自治体に申請してから交付されるまでの期間は、自治体によって違いますが、通常3日から1週間程度かかります。土日祝日を除いた営業日でこの程度の期間が必要になり、実際には10日程度かかるケースもあるため注意が必要です。
改葬許可証は、石材店に工事を依頼する際に必要になる書類のため、早めに申請して、余裕をもって準備をすることをおすすめします。
改葬許可証の発行手数料
改葬許可証の発行手数料は自治体によりさまざまですが、無料から300円程度が一般的です。申請1件につき手数料が必要なため、移転する遺骨の数が多い場合はその倍数分の手数料がかかります。
なお、鹿児島県霧島市のように1回で数体申請しても手数料が変わらない自治体もあるため、移転元の市区町村によく確認することが大切です。
改葬許可証の有効期限
改葬許可証に有効期限はないため、書類が手元にあればいつでも申請手続きを進めることが可能です。ただし、改葬許可証の中に記載された移転先のお墓の使用契約などの期限が設定されているケースがあるため、内容についてはしっかり確認しておきましょう。
改葬許可証の提示先
改葬許可証を提示するタイミングは、大きく分けて3回あります。
まずは移転元の墓地管理者、次に移転先の墓地管理者、そして墓地の解体・撤去を行うために工事をする石材店に対してそれぞれ提示します。一連の改葬作業をスムーズに進めるためにも、早めに改葬許可証を申請しておきましょう。
以下で、より詳しく解説していきます。
現在遺骨のある墓地管理者
まずは、現在遺骨がある墓地の管理者に改葬許可証を提示します。ここで提示することで、遺骨を取り出して新しい墓地に移動させることが可能になります。
改葬許可証を提示して確認が取れたら、魂抜きと呼ばれるお墓から魂を抜く閉眼法要を進めることができます。
移転先の墓地管理者
現在遺骨がある墓地から遺骨を取り出して閉眼法要を実施したら、移転先の墓地管理者に改葬許可証を提出します。これにより、取り出した遺骨を新しい墓地に埋葬することが可能です。
新しいお墓に遺骨を埋葬する際には、お墓に仏様の魂を入れ込む開眼法要を行ってもらいましょう。
石材店に工事依頼をするとき
改葬許可証は、現在遺骨がある墓地の解体・撤去工事を石材店に依頼するときにも必要です。石材店との工事契約の際には必要ありませんが、撤去工事当日には改葬許可証がないと工事を実施することができません。
石材店との工事日の打ち合わせをするときには、改葬許可証が手元にあるように事前に申請をしておくことがトラブルを防ぐポイントです。
墓じまいの主な7つの流れ
改葬を行った場合は、墓じまいという手続きを行って、適切な方法で現在のお墓を更地に戻す必要があります。墓じまいの行政手続きで必要な手順は、遺骨が埋葬されているお墓の状況によって異なるため、役所で確認したり必要な書類を入手したりしなければなりません。
ここでは墓じまいの主な流れについて、7項目に整理して解説します。流れについて正しく理解して、適切に墓じまいを行いましょう。
1:親族や墓があるお寺に墓じまいの相談をする
墓じまいを検討する場合は、まず親族やお墓がある寺の住職に墓じまいの相談をして理解を得ることから始めてください。
檀家の場合は、菩提寺の住職に事前に話をしておくことが、スムーズに墓じまいが進む秘訣です。遺骨を別の霊園や寺院に移す場合は、特にトラブルにならないように事前に話をしておきましょう。
2:移転先の決定
続いては墓じまいをした後の新しい移転先を決定します。自分の希望だけでは決まらない場合もあるため、自分が希望する霊園が募集期間中なのか、希望するお墓を購入できるのかなどを確認しておくことが大切です。
墓じまい後の遺骨の受け入れ先としては、別の一般墓のほか樹木葬、納骨堂など、永代供養してくれる施設への改葬が候補になるでしょう。
移転先が決まれば、先に新しい墓地の管理者に受入証明書を発行してもらいましょう。
3:墓の管理者から埋葬証明書を発行してもらう
埋葬証明書は埋蔵証明書とも呼ばれ、現在の墓地に誰が埋葬されているかを証明する書類です。埋葬証明書は、現在の墓地の管理者から発行してもらいます。
民営の霊園や公営の墓地であれば管理事務所で、寺院墓地ならお寺から発行してもらえますが、自治体によっては埋葬証明書の代わりに改葬許可申請書への署名・捺印でOKとされるケースがあるため注意が必要です。管轄自治体のホームページや窓口で確認してください。
4:墓がある市区町村役所で改葬許可証の交付を受ける
墓じまいを行う場合の行政手続きとしては、改葬許可証を改装先の霊園や寺院に提出することで完了です。改葬許可証は現在の墓がある市区町村役場で発行してもらえますが、今の墓地や改葬先の管理者から署名をもらって提出することになります。
行政手続きは、現在のお墓の墓石を撤去するまでに必ず終わらせていくことが必要です。事前に流れを頭に入れておき、漏れがないように早めに進めましょう。
5:閉眼供養(魂抜き)をして遺骨を取り出す
遺骨をお墓から取り出す前には、魂抜きとも呼ばれる閉眼供養という儀式を行います。これはお墓に付与した故人の依り代としての機能を停止させる儀式で、墓前で読経してもらうことでお墓を普通の土地に戻す目的で行う法要です。
日ごろお世話になっているお寺に依頼したり、墓地の近くで家の宗派と同じお寺に依頼したりして供養をお願いします。閉眼供養は墓石解体工事の1週間前くらいに済ませると、後の工程がスムーズにいくでしょう。
6:墓を解体・撤去して墓地を返還する
事前に契約した石材店と日程調整をして墓石の解体・撤去工事を行い、墓地を更地にして墓所に返還します。民営霊園の場合は指定業者がいるため、管理事務所で墓じまいの相談をした際に業者も紹介してもらいましょう。
寺院墓地でも指定の石材店がいるケースがあるため、事前に確認することをおすすめします。特に指定石材店がない場合は自分で探しますが、見積書を確認して納得して選ぶことが大切です。
7:移転先に納骨する
墓じまいが完了したら、遺骨を移転先のお墓に納骨します。墓石の解体工事を行って取り出した遺骨は、現地に直接取りに行くか石材店から改葬先に発送してもらうことが一般的です。
これですべての改葬が完了になります。
改葬を考えているなら改葬許可証について理解しよう
現在供養しているお墓を解体・撤去して墓地を管理者に返還する墓じまいを行って、別の霊園に遺骨を移動することが改葬です。改葬を検討される場合は墓じまいの流れとともに、改葬許可証について理解しておく必要があります。
この記事で説明した改葬に関連すること、墓じまいに関連することを十分に理解して、滞りなく改葬を行ってください。
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