
自宅での遺骨の置き方とは?置くときに注意することや保管方法について

「遺骨の置き方には決まりがあるの?」
「自宅に遺骨を置きたいけれど、ふさわしい方法はある?」
「神式やキリスト教の場合は、どのようにして遺骨を置けばいい?」
このように、自宅での遺骨の置き方について疑問に感じることがあるのではないでしょうか。
故人を供養するためには、遺骨を正しく置くことが必要です。
この記事では、自宅での遺骨の置き方に迷いを感じている方のために、正しい保管方法や気をつけなければならないことを詳しく紹介します。宗教別での対応の仕方も解説するため、全ての方々の悩みが解消できるでしょう。
本記事を読むことで、遺骨の基本から取り扱い方、もしも自宅に遺骨を置けない場合の対策まで知れるため、供養の幅も広がります。
遺骨を身近に置いて供養したい方、終活の知識を広げたい方はぜひこの記事を参考にしてください。

遺骨とは?
遺骨とは、故人が亡くなった後、火葬して棺に残った骨を指します。遺骨は骨上げ(収骨)という儀式で骨壷に収めて、四十九日法要まで自宅で保管することが一般的です。
多くの場合、四十九日法要を過ぎるとお墓などの決められた場所に納骨します。埋葬場所は法律により定められているため、指定以外の場所に納骨することは認められていません。
似たような言葉に「遺灰」がありますが、遺灰とは遺骨を灰にしたものです。火葬すると遺灰になりますが、残った遺骨を粉状にして遺灰にすることもあります。
自宅に遺骨は置けるのか?
遺骨を自宅に置いて供養することは可能です。火葬した後はお墓などに納骨することが一般的ですが、自宅に置いても違反にあたりません。
自宅が故人にとっても思い出の場所であるため、自宅を選択する遺族は少なくないでしょう。ただし、自宅の庭へ埋葬する行為は法律で認められていないため注意が必要です。
自宅での保管方法
自宅で遺骨を保管する方法は様々なものがあります。家庭内でよく相談して環境に合う方法を選択しましょう。
ここからは、自宅に仏壇や仏間がある場合の保管方法や、コンパクトに手元供養する場合の保管方法などを紹介します。保管方法に迷っている方は参考にしてください。
粉骨してから置く
自宅の環境によっては、骨壷のスペースや大きさに悩むこともあるでしょう。マンションなどで骨壷を置くスペースが気になる場合は、粉骨することで通常よりもコンパクトに供養できます。
ただし、全ての遺骨を粉骨する場合は、コンパクトであっても多少大きさがある骨壷に納める必要があるため注意が必要です。
近年では粉骨用の骨壷も流通しておりデザインも豊富なため、故人の好きな模様や色など思いのこもった骨壺を選んでも良いでしょう。
手元供養品にして置く
手元供養品とは、遺骨を粉砕した後で専用のネックレスやお守りにするものです。手元供養品にすることで故人を身近に感じられるほか、骨壷に入らない場合の遺骨方法として選択されています。
後からお墓へ埋葬することもできますが、粉骨の埋葬を禁止している場所もあるため注意しましょう。
骨壷のまま置く
火葬後に骨壷に納めた状態で保管する場合は、「後飾り祭壇」を使用するか、仏壇や仏間を使用します。また、自宅の部屋のスペースを利用する方法もあり、保管の方法も多様化しています。
ここからは、骨壷のまま置く方法をそれぞれ紹介します。
仏壇の骨壺用スペースに置く
近年は、仏壇にも様々なデザインのものがあり、あらかじめ骨壷が置けるように作られているタイプも存在します。
ただし、骨壷を置ける場所が設けられている仏壇に限られてしまう点がデメリットです。また、本来仏壇は仏像や掛け軸を安置する目的があるため、骨壺を置く場所としてはあまりふさわしくないと言われています。
後飾り祭壇をそのまま使う
後飾り祭壇とは、火葬後に骨上げした骨壷を安置するための専用の祭壇を指します。地域によっては「後飾り」「自宅飾り」などと呼ぶこともあるでしょう。
後飾り祭壇は骨壷の安置以外に、遺族や弔問客が故人を偲び冥福を祈る場所でもあります。通常であれば四十九日法要の頃に解体することが一般的ですが、自宅保管用としても使用できます。
仏間に専用の台を新たに用意する
前述したように、中には仏壇に骨壷を安置することに抵抗がある方もいるでしょう。この場合、仏壇の隣などに台を設置し、新たに場所を作ることで遺骨を自宅保管できます。
新たに場所を作る場合は、小さい机に白い布をかぶせ、骨壺と遺影、三具足、お供え物を配置し、いつでもお参りできるようにすると良いでしょう。
リビングなどに供養スペースを設ける
故人を常に近くで見守れるという理由から、リビングを保管場所に選択するケースがあります。この場合は、洋風のリビングに安置しても違和感のないデザインの骨壷を選択すると良いでしょう。
【宗教別】自宅で後飾り祭壇を用いる場合の遺骨の置き方
自宅で後飾り祭壇を用いる場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。
ここからは、後飾り祭壇を用いた際の遺骨の置き方を宗教別に解説します。遺骨を正しく安置して故人を供養しましょう。
神式での遺骨の置き方
神式はお供え物が多くあるため、三段式の後飾り祭壇がおすすめです。一番上の段に遺骨や遺影を置きます。中段に霊璽(れいじ)や榊(さかき)などを祀りましょう。下の段には酒や水、米、塩などの三方や、玉串、ろうそくなど置きます。
神式では、故人は亡くなった後に守護霊となる教えがあるため、遺骨は一番上に安置しましょう。納骨は五十日祭に合わせて行うことが一般的です。
仏式での遺骨の置き方
仏式では二段式の後飾り祭壇が多く見られますが、供え物などが多い場合は、三段式を使用しても良いでしょう。ここからは仏式での遺骨の置き方を、二段式と三段式に分けて紹介していきます。
三段配置
三段式の場合は、最上段の中央に遺骨を置きましょう。祭壇の端の方に置いてしまうと、転倒の恐れがあります。また、骨箱が汚れてしまうのを防ぐため、供え物や供花を同じ段に置かないようにしましょう。
中段には供花、遺影を正面にして置き、下段にはろうそくや香炉、おりん、予備のお香などを置きます。香炉は燃えやすいため前の方に置き、念のため耐火マットを敷くと安全です。
二段配置
二段式の場合は、上段に遺骨や遺影、仮位牌、下段に香炉や予備のお香、おりん、ろうそくなどを配置しましょう。重量のあるお供え物は、別の段を設けると安全です。
また、三段式と同様に遺骨は段の中央に置き、お供え物・供花からは離して置きましょう。
納骨の目安と納骨先
仏式の納骨は、四十九日法要を過ぎた頃が多い傾向です。地域や宗派により差があり、初七日法要の頃に納骨する場合や、納骨をしないケースもあるでしょう。
従来ではお墓に納骨することが一般的ですが、近年では子孫やお墓を管理する人がいないことから、永代供養墓地などを納骨先に選ぶ人も増えています。
キリスト教式の遺骨の置き方
キリスト教式の場合では後飾り祭壇について決まりがなく、二段式が相当とされています。
上段にろうそくや十字架、下段に遺骨や遺影、献花を置きます。ろうそくは防火のため、LEDのものを使用しても良いでしょう。献花の下には防水シートやトレーを敷き、布が汚れないようにしましょう。
納骨は、カトリックでは没後30日目の追悼ミサの頃、プロテスタントでは1ヶ月目の召天記念日の頃が一般的です。
特定の宗教に限定しないときの遺骨の置き方
特定の宗教に限定しない場合は、配置に決まったルールはありません。日本で仏式の置き方に合わせる遺族が多い傾向ですが、配置の仕方に希望がある場合は、一度葬儀社などに相談しましょう。
遺骨を自宅に置くとき注意したいこと
遺骨を自宅に置くときは、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。骨壷は扱い方に気をつけなければ汚れや破損の原因になります。ここからは、遺骨を自宅に置くときの注意点を紹介します。
多湿な場所は避ける
湿気が多い場所はカビが発生しやすくなるため、直射日光を避け風通しがよく、なるべく寒暖差のない場所に置きましょう。キッチンやお風呂場などは湿気が多いためふさわしくありません。
また、気温の変化で結露が発生する場所もカビの元になるため、避けましょう。
破損事故が起きそうな場所は避ける
ペットを飼っている、小さい子どもがいる場合は配置場所をよく考える必要があります。
少しの揺れや衝撃で破損、落下するケースもあるため事故を防げる場所を選びましょう。また、子どもの手の届かない場所に置くなどの工夫をしてみることをおすすめします。
いつまで自宅で保管するのかなど家族や親戚間で話し合っておく
中には、手元供養にマイナスの考え方を持つ方もいるでしょう。意見の食い違いが発生することも考えられます。将来遺骨はどのようにするか、事前に話し合っておくことが大切です。
人目を気にした方が良い場合もある
遺骨を自宅に置く場合、人目を気にした方が良い場合があります。
宗教面や法律面では自宅に置くことに問題はありませんが、人によってはなんとなく恐怖を抱いたり、無機質感を抱いたりする可能性もあります。
供養への参加を無理強いしない
弔問客や親族などに対して、供養を強要しないようにしましょう。自宅での供養に抵抗感を抱く人がいる場合は、無理に参加させる必要はありません。それぞれに合った形で故人を見送るようにしましょう。
遺骨を自宅に置くことが難しくなってきた場合
遺骨を管理することが難しくなった場合は、新しい供養先を探さなければなりません。
お墓の管理者がいない、跡継ぎがいないなどの場合は永代供養を選択するほか、遺骨を粉末化して海や山に撒く散骨という方法もあります。
自宅での遺骨の置き方を知っておこう
ここまで、遺骨を自宅で保管する方法や、注意点について紹介しました。家庭の環境に合わせた方法を選択することで、故人をより身近に感じられるでしょう。
遺骨を自宅で保管する際は、この記事を参考にして故人の冥福を祈りましょう。
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