
死後事務委任契約に関するトラブルとは?回避する方法・契約書の作成手順も解説

「死後事務委任契約とは?」
「死後事務委任契約に関するトラブルって具体的にどういうもの?」
「死後事務委任契約に関するトラブルを回避するためにはどうすればいい?」
このように、死後事務委任契約や死後事務委任契約に関するトラブルについて知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、死後事務委任契約の概要や、死後事務委任契約に関するトラブルの内容を紹介しています。この記事を読むことで、死後事務委任契約に関するトラブルにどのようなものがあるのか把握することができるでしょう。
また、死後事務委任契約に関するトラブルを回避する方法についても紹介するため、トラブルに巻き込まれないように対策できます。
死後事務委任契約に関するトラブルについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
死後事務委任契約におけるトラブルとは?
自分に万が一のことがあった場合に備えて、死後事務委任契約を結んでおきたいと考えている人もいるでしょう。特に家族がいない人や、家族が遠方に住んでいる一人暮らしの高齢者の場合、自分が死んだあとに周りに迷惑を掛けてしまわないか不安に考えている人も多いです。
このような場合、死後事務委任契約を結んでおくと安心です。しかし死後事務委任契約は、適切に締結しておかなければトラブルになりやすいという注意点もあります。
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは 、自分が死んだ際に必要となるさまざまな手続きをトータルで任せる契約です。人が亡くなると、行政への届け出や葬儀、遺品の整理、施設や各種契約の精算・解除など、非常に多くの手続きが必要になります。
このような手続きは家族がいれば家族に対応してもらうことができますが、一人暮らしの高齢者などの場合、頼れる人がいないケースも多いです。死後事務委任契約はこのようなケースに頼れる契約となっています。
死後事務委任契約に盛り込む内容
死後事務委任契約に盛り込む内容としては、「行政手続き」、「連絡対応」、「葬儀対応」、「遺品整理」、「病院・施設の退去手続き」、「契約の解約、費用の清算」、「デジタル遺品の整理」などが挙げられます。
葬儀埋葬に関する内容だけでなく、事前に指定しておいた連絡先への訃報の連絡や、お世話になっていた病院や施設への支払い代行といった内容も盛り込むことが可能です。
遺言書・身元保証契約との相違点
死後事務委任契約は遺言書や身元保証契約と混同されるケースが多いです。しかし死後事務委任契約と遺言書、身元保証契約はそれぞれ異なるものであるため、具体的な違いを知っておく必要があります。
ここでは遺言書・身元保証契約との相違点について解説していくため、参考にしてみてください。
遺言書とは
遺言書とは、自分が死んでからの財産をどのように処分するのかという意思表示を行うための書面です。遺産をどのように分配するのか指定することができるため、遺言書を残しておくことで残された遺族間でのトラブルを防止することが可能になります。
遺言書の種類としては、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。自筆証書遺言は自分で作成できるため手軽ですが、きちんと要件を満たすように作成していないと、無効になる可能性もある点には注意が必要です。
公正証書遺言は公証役場の公証人に作成してもらうため手間や費用がかかりますが、無効になるリスクは少ないです。
身元保証契約とは
身元保証契約とは、病院や介護施設への入居の際に必要な身元引受人になり、料金の支払いを保証する契約です。
医療機関や老人ホームなどに入居する際には医療費や施設の利用料の支払いを保証する身元引受人が必要になりますが、身元保証契約は身元引受人の代わりになってくれるサービスです。
身元保証契約は死後事務委任契約と違い、契約者が生きている間から関わるものであるため、日常の買い物の手伝いといった日常支援サービスが含まれているケースもあります。
死後事務委任契約に関するトラブルとは
死後事務委任契約は自分の死後の手続きを一貫してお任せできるサービスですが、死後事務委任契約の契約内容を巡って業者と遺族がトラブルに発展するケースもあります。
ここでは死後事務委任契約に関するトラブルについて紹介するため、具体的にどのようなトラブルが発生しやすいのか参考にしてみてください。
遺言書に関するトラブル
死後事務委任契約を結んでおらず、遺言書にだけ死後事務を記載している場合、希望している死後事務が実行されない可能性があります。このケースでは死後事務委任契約が締結していないため、トラブルに発展する以前の問題です。
遺言書の内容は本人の自由ですが、その効力は法律で定められている範囲に留まります。自分の死後に必ず実行してほしい手続きがある場合は、死後事務委任契約を結んで依頼しておく必要があるでしょう。
死後事務委任契約の内容・有効性に関するトラブル
委任者の死後、死後事務委任契約の内容や有効性を巡ってトラブルに発展するケースがあります。トラブルが発生することを回避するためにも、死後事務委任契約を作成する際、自分の死後も契約書としての効力が保たれるということを特約に含めておくとよいでしょう。
また、確実に処理が実行されるように、委任内容を詳細に記載しておくことが大切です。
受任者と相続人の意見に関するトラブル
業者が死後事務委任契約で取り決めた内容に沿って契約を行おうとした際に、受任者と相続人の間で意見が対立するケースがあります。
相続人と意見が食い違う場合、委任者の財産の所有権は相続人にあるため、委任者が希望している身辺整理に必要な費用の支払いが行えなくなってしまいます。
自分の死後に確実に身辺整理を行ってもらうためには、相続人の理解が必要です。そのため、死後事務委任契約を締結する場合は、生前から相続人に事務委任契約の内容を伝えておくことが大切です。
死後事務委任契約にかかる費用に関するトラブル
委任者は納得して死後事務委任契約を結んでいますが、実際に死後事務委任契約を専門家に依頼した場合、相応の費用がかかります。そのため、死後事務委任契約にかかる費用によって相続人とトラブルになるケースがあります。
相続人の中には、自分達で死後事務を行うことで費用を節約することができるため、より多くの財産を相続できたと考える人もいるでしょう。このような考え方の相続人がいるとトラブルに発展するため、生前に相続人には死後事務を専門家に委託していることを伝えておきましょう。
葬儀・遺骨行方に関するトラブル
委任者は自分の葬儀は直送にしてほしい、遺骨は散骨してほしいというように、死後事務委任契約で希望する対応を依頼していたとします。しかし家族が同じ考えでいるとは限らないため、葬儀や遺骨の行方に関して遺族とトラブルになるというケースもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、家族に対して葬儀や遺骨の扱いについて自分の希望を伝えておき、死後事務委任契約の内容のとおりに実行してほしいということを伝えておくことが重要です。
死後事務委任契約を依頼した運営会社に関するトラブル
死後事務委任契約は、契約を行った委任者が亡くなってから、死後のさまざまな事務作業を代行するという契約です。そのため、契約時から実際に亡くなるまでの期間が長い場合、運営会社が経営破綻してしまうというトラブルもあります。
このようなケースでは、死後事務委任契約で依頼していた手続きが行われなくなってしまいます。また、契約時に預託金を支払ってしまっている場合、預託金の返還もされない可能性があるでしょう。
預託金に関するトラブル
死後事務委任契約を締結することにより、業者は依頼者の預貯金を使えるようになります。そのため、死後事務委任契約を依頼した業者が依頼者のお金を勝手に使いこみ、トラブルに発展するケースもあります。
依頼者が亡くなったあと、残された財産の所有権は相続人に移るため、業者に使い込みをされないようにするためには、信頼できる業者と死後事務委任契約を締結することが大切です。
受任者の死亡・廃業した場合のトラブル
死後事務委任契約では、委任者が亡くなってから死後必要となる事務作業を実行することになります。そのため、実際に契約が履行されるまでの間に、死後事務委任契約の受任者が亡くなったり、廃業してしまったりするというトラブルもあります。
このようなトラブルを避けるためには、個人事務所と死後事務委任契約を締結するのではなく、法人を選ぶことが大切です。
無資格者に関するトラブル
死後事務委任契約は専門的な資格がなくても行うことは可能です。しかし死後に必要となる手続きの中には、相続に関する手続きなどが含まれているケースもあります。
このような手続きは弁護士資格を持っている人でなければ行うことができません。しかし無資格者が遺産分割などの相続手続きに関与するといったトラブルが発生するケースもあります。無資格者が遺産分割に関与した場合、間違った手続きによって被害を受ける可能性もあるでしょう。
死後事務委任契約に関するトラブルを回避する方法
ここまで紹介したとおり、死後事務委任契約を締結することにより、自分の死後、トラブルが発生する可能性もあります。トラブルを回避するためには、死後事務委任契約を締結する際に弁護士に相談したり、有効な遺言書を作成したりしておくとよいでしょう。
ここでは死後事務委任契約に関するトラブルを回避する方法を紹介するため、参考にしてみてください。
弁護士に相談・依頼する
死後事務委任契約を締結する場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。死後事務委任契約で依頼が可能な内容は幅広いため、具体的にどのような内容にするのか検討するためにも、弁護士への相談は有効です。
弁護士であれば、依頼者の状況や希望に合わせて最適な依頼内容を提案することもできます。また、弁護士に死後事務委任契約の受託者となってもらうことも可能です。
適切な遺言書を作成する
死後事務委任契約では、遺産分与など死後の財産の処分方法を定めることはできません。そのため、遺産の分配については適切な遺言書を作成して、死後事務委任契約と遺言書を併せて利用すると良いでしょう。
死後事務委任契約書を作成する
死後事務委任契約は口頭でも締結することができますが、書面として残していないと契約した内容を第三者に証明することができません。そのため、トラブルに発展するリスクも高くなります。
死後事務委任契約を締結する場合は、契約内容を明示した契約書を作成しておくと良いでしょう。
死後事務委任契約書の作成手順
死後事務委任契約は口頭でも締結することは可能です。しかし先に紹介したようなトラブルを避けるためにも、死後事務委任契約書として書面を作成しておく方が良いでしょう。
ここでは死後事務委任契約書の作成手順を紹介するため、契約書を作成する際の参考にしてみてください。
契約書作成に必要な書類の準備
死後事務委任契約書を作成するためには、まずは必要な書類の確認と準備を行う必要があります。契約を結ぶためには、委託者、受託者双方で本人確認のための書類や印鑑などを用意しなければいけません。
本人確認のための具体的な持ち物としては、「印鑑登録証」、「実印」、「認印」、「マイナンバーカード」、「自動車免許証」などが挙げられます。
委任内容を整理・決定する
死後事務委任契約書を作成するにあたり、契約内容を明確にしましょう。依頼する内容を詳細に記載しておくことで、スムーズに依頼を実行しやすくなり、相続人や遺族とのトラブルを回避しやすくなります。
たとえば、すでに永代供養を依頼している場合、契約している霊園の名前や所在地、契約内容などを明記しておきましょう。
委任契約の文案を公証役場に提出する
死後事務委任契約の内容がまとまったら、文案を公証役場へ提出して内容を確認してもらいましょう。死後事務委任契約書を作成するには、公証人が委任者や受任者と相談しながら内容を調整する必要があります。
公証人が委任契約書を作成する
内容に不備がないことが確認できたら、公証人の死後、事務委任契約書を作成します。契約書が作成できたあとは、決められた日時に再び公証役場へ出向き、契約書の内容を確認して署名捺印することで死後事務委任契約書は完成となります。
死後事務委任契約に関するトラブルを回避しよう
死後事務委任契約を締結することで自分の死後のさまざまな手続きを実行してもらうことができますが、相続人とトラブルになるケースもあります。
ぜひ本記事で紹介した死後事務委任契約に関するトラブルの事例やトラブルを回避する方法などを参考に、トラブルを回避して死後事務委任契約の内容をスムーズに実行できるように準備しておきましょう。
お電話でも受け付けております
