
公正証書遺言の証人が承認されない場合とは?該当者がいない場合の対応も紹介

「公正証書遺言は証人が必要なの?」
「公正証書遺言の証人になれるのはどんな人?」
「証人をお願いできる人がいないときはどうしたらいい?」
このように、公正証書遺言を作成しようと考えたときに、証人についてどのように対応したら良いか悩む人も少なくありません。
この記事では公正証書遺言における証人の概要や、証人を依頼する場合の費用、証人になれる人がいない場合の対処法などを紹介しています。
この記事を読むことで、公正証書遺言における証人の資格や、証人になれない条件などを知り、どのような人が公正証書遺言の証人として適切か知ることができます。
また、公正証書遺言の証人がどのようなことをするのかについても紹介しているため、自分が証人を依頼された場合の対応も把握できるでしょう。
公正証書遺言における証人についてお悩みの人は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
公正証書遺言における証人とは
公正証書遺言における証人とは、公正証書遺言書作成の際に立ち会う人のことです。公正証書遺言を作成するにあたり証人2名が必要で、誰に依頼するかは遺言者の方で選べます。
証人は、公証人とともに「遺言者に判断力があり、自分の意志で遺言をしている」「遺言の内容が遺言者の真意に沿っている」といった事実を確認し、客観性を証明する役割があります。
公正証書遺言の証人の資格とは
公正証書遺言の証人になるために、特別な資格は必要ありません。ただし、公正証書遺言の性質上、遺言者にとって利害関係のない立場の人を証人に選ぶ必要があるでしょう。
公正証書遺言の証人は、遺言書を作成したという事実や内容を知ることになるため、信頼できる人に依頼することをおすすめします。
公正証書遺言の証人になった場合に必要となる対応とは
公正証書遺言の証人は、遺言書作成の日に公証役場に行き、遺言書作成の場に立ち会う必要があります。一般的に、遺言書は以下のような流れで作成されます。事前にある程度の流れを頭に入れておきましょう。
1.公証人とともに遺言者本人が口述する遺言の内容を聞き、遺言者の真意であることと判断能力に問題がないことを確認します。
2.公証人が用意した遺言公正証書の原本を、遺言者とともに内容に間違いがないか確認します。公証人が読み上げる、または閲覧での確認です。
3.内容に間違いがなければ、遺言者と証人2名が遺言公正証書の原本にそれぞれ署名捺印します。
4.最後に、公証人が証書に署名し、職印を捺印して完成です。
なお、公正証書遺言を作成した後も、証人としての責任を負う必要があります。その遺言によって争いが起こり訴訟になった場合は、裁判で公正証書遺言の有効性について証言をするよう求められる可能性があることを、心に留めておきましょう。
証人になれない条件
公正証書遺言は証人が必要ですが、証人になれない人もいます。欠格者(証人となる条件を満たさない人)を証人にしてしまうと、その遺言は無効になってしまうため注意が必要です。
ここでは、公正証書遺言の証人になれない条件について解説していきます。
公証人の配偶者や四親等内の親族・書記および使用人
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人など、公証人の関係者とみなされる人は、公正証書遺言の証人になれません。
関係者が証人になると、不備や不正を見逃してしまう可能性や、遺言者に影響を与える可能性があるなどの理由から、証人として認められないとされています。
出典:民法|e-Gov法令検索
推定相続人や受遺者とその配偶者および直系血族
推定相続人、受遺者とその配偶者および直系血族も、公正証書遺言の証人になれません。
推定相続人は将来において相続の権利があると推定される人を指し、受遺者は遺言で指定された財産の贈与を受ける人です。
それぞれ遺言者と利害関係があるため、遺言の公平さが保てないことから証人にできないとされています。
出典:民法|e-Gov法令検索
未成年者
未成年者は十分な判断ができないため、証人として認められないとされています。
なお、民法改正により2022年4月1日からは成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。よって、18歳以上で他の欠格条件に該当しない人であれば証人として認められます。
出典:民法|e-Gov法令検索
証人になれる人がいない場合の対処法
「信頼できる身内は欠格者に該当してしまう」、「友人や知人には遺言の内容を知られたくない」など、証人を頼める人がいない場合は、公証役場で紹介してもらうことが可能です。
また、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家が依頼を受けてくれる場合もあるため、まずは相談してみましょう。
証人を依頼する場合の費用
公正証書遺言の作成には、公証人手数料令で定められた手数料が必要です。その他にも、証人を依頼する相手によっては、費用がかかる場合があります。
ここでは、証人を依頼する場合の費用の目安を紹介します。
知人に依頼する場合
公正証書遺言の証人を知人や友人などに依頼する場合、必ずしも費用を支払う必要はありません。
謝礼や交通費を支払うかどうかも、遺言者と証人で自由に取り決めることができます。後々のトラブルとならないよう、しっかりと事前に話し合うと良いでしょう。
公証人役場から紹介してもらう場合
証人を公証役場で紹介してもらう場合は、1人あたり1万円程度が費用の目安とされています。費用は公証役場によって変わるため、詳細は依頼する公証役場に確認してみましょう。
行政書士や司法書士などに依頼する場合
証人を行政書士や司法書士などに依頼する場合は、1人あたり10万円程度が費用の目安です。
公証役場で紹介してもらう場合と比べて割高ではありますが、専門家に依頼する方が安心できる人にはおすすめです。
公正証書遺言の証人として承認されるための条件を知ろう
「公正証書遺言」は、公証人が遺言者の意向を法律的に問題がないように整理して作成する遺言書です。そのため、自筆証書遺言や秘密証書遺言のように無効になってしまう可能性が低い遺言方法と言えるでしょう。
また、原本が公証役場で保管されるため、遺言書の破棄や改ざんの心配がないといったメリットもあります。その公正証書遺言の公平さを証明するために、証人の存在は欠かせません。
公正証書遺言の証人として承認されるための条件を知り、適切な人に証人を依頼できるようにしましょう。
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