
樹木葬に改葬するメリットは?必要な手順・注意点と費用相場も解説

「樹木葬にしたいけど、手続きって何が必要なの?」
「改葬にかかるお金はどのくらいだろう?」
「改葬するときには何に気を付けたらいいのかな?」
現在のお墓から樹木葬に改葬したいと考えていても、手続きや費用などがよく分からない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、樹木葬へ改葬する場合について詳しく解説していきます。樹木葬に改葬するメリットに加えて、改葬に必要な手順、かかる費用や気を付けたいポイントもまとめているため、改葬を検討する際の参考になるでしょう。
この記事を読むことで、樹木葬への改葬に対する疑問や不安を解消し、改葬に必要な準備をしっかりと行えるでしょう。
樹木葬への改葬を考えているという人は、ぜひチェックしてみてください。
樹木葬とは?
そもそも樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とする永代供養のお墓の形式です。
樹木葬は、自由な形の葬儀をしたいという「自然葬」の1つで、自然葬には他に、海洋散骨や宇宙葬などがあります。一般的な慣習にとらわれないことが支持されるポイントです。
樹木に決まりはありませんが、桜やハナミズキなどが好まれます。墓地管理者が供養や管理をしてくれる永代供養のため、後継者の心配がないことも魅力です。
そもそも改葬とは
現在、先祖代々のお墓があり、それを樹木葬に変えたい場合、「改葬」という手続きが必要になります。改葬について理解しておくと、必要な手順が分かりやすくなるでしょう。ここでは、改葬とは何かについて解説していきます。
遺骨を別のお墓に移すこと
改葬とは、墓地埋葬法2条3項で定義されており、お墓に埋葬した遺骨を取り出し、他のお墓や納骨堂に移すことを意味します。
現在のお墓から樹木葬に変更する場合も、樹木を墓石代わりとして改めて埋葬するわけであるため、「改葬する」ということになるのです。
出典|参照:墓地、埋葬等に関する法律|e-Gov法令検索
改葬と墓じまいの違いとは?
改葬のやり方には遺骨全体を移す場合と一部を移す場合があり、それぞれの事情に合わせた改葬方法を選択できます。一方で、墓じまいとはお墓に納骨されている遺骨全てを移し、墓所を更地にして墓地管理者に返還することです。
改葬において現在のお墓を完全に撤去する場合は、その改葬の手順の中に墓じまいが含まれていると考えておきましょう。
遺骨は勝手に移動・処分できない
改葬を行う際に気を付けるポイントが、遺骨は勝手に移動・処分ができないという点です。この点について理解しておかないと、思わぬトラブルになりかねません。詳しく解説していきます。
改葬許可が必要
改葬を勝手に行うことは法律で禁止されています。
墓地埋葬法5条より、改葬を行う場合、市区町村長の改葬許可が必要とされているためです。たとえ、何代も前の先祖の遺骨だとしても、勝手に取り出すことはできません。
改葬許可をもらう手順は、市区町村ごとに必要書類などが異なりますが、基本的には市区町村役場に改葬許可申請を行い、改葬許可をもらう形になります。
出典|参照:墓地、埋葬等に関する法律|e-Gov法令検索
刑事罰の適用もありうる
市区町村長からの改葬許可を得ずに、無許可で改葬を行った場合は、刑法第190条の死体損壊等に該当し刑事罰を受けることがあるため注意が必要です。最長で3年以下の懲役に罰せられます。
このようなトラブルにならないためにも、必要な手順をおさえた改葬を行うようにしましょう。
出典|参照:刑法|e-Gov法令検索
なぜ改葬するのか
樹木葬に改葬を考える理由は人それぞれ異なります。改葬を考えるのは、現在の供養で抱える何らかの問題を解消するメリットがあるためといえるでしょう。一般的にどのようなメリットがあるのかについて紹介していきます。
現在のお墓が遠い
実家から離れて暮らす核家族が増えている現代では、お墓が遠いという事例も増えています。お墓が遠いと、お墓参りに行くために飛行機や新幹線などを利用し、さらに宿泊も必要となってくるでしょう。
お墓参りに行くための時間的負担や金銭的負担が大きいと、お墓参りの頻度が減ってしまい、その結果お墓の管理が行き届かなくなりがちです。
お墓が近くになることで、お墓参りの負担も軽くなります。そして、お墓参りの回数が増えると故人を身近に感じることもできるでしょう。
お墓の後継者がいない
お墓は管理を引き継いでくれる後継者が必要です。後継者がいないと、お墓の管理者がいない無縁墓となってしまいます。しかし、少子化が進む中で、後継者がいないまたは決まらないという事例は少なくありません。
樹木葬は永代供養ですので、墓地管理者が供養・管理を行ってくれます。そのため、樹木葬に改葬することで、後継者の心配をしなくてよくなります。お墓の後継者で悩んでいる人にとっては大きなメリットといえるでしょう。
遺族に供養の負担をかけたくない
自身がお墓の供養を負担に感じている場合、遺族に同じような負担をかけたくないと考える人も多いでしょう。
お墓の管理には維持費がかかり、遠方にいたり、仕事が忙しかったりする人にとってはお墓参りも負担になる可能性があるでしょう。
樹木葬に改葬することで、お墓は永代供養となり、維持費はかからなくなります。また、供養も霊園や寺社などの墓地管理者が責任をもって行ってくれますので、お墓参りに行かなくてはいけないという精神的負担も軽減できるでしょう。
もちろん好きなときにお墓参りをし、故人を偲ぶこともできます。遺族への負担を軽くしたいという気持ちから改葬を考える人も多いでしょう。
費用を軽減したい
お墓を維持・管理するには、維持費・お墓参りにかかる交通費などの費用がかかります。少しでも費用を軽減したいという気持ちから改葬を考える人も多いです。
前述したように、遠方のお墓を近くに改葬することで金銭的負担は小さくなります。また、樹木葬をはじめとした永代供養の形を選ぶことで維持費もおさえられるでしょう。
自分の遺族の負担を軽減するだけでなく、自分が今抱えている金銭的負担を軽くするためにも樹木葬への改葬は有効手段といえます。
樹木葬への改葬の流れは?
樹木葬へ改葬する場合、必要な手順をきちんと理解しておくことが大切です。改葬には改葬許可が必要になり、他にも相談しておくべき相手や内容があります。ここでは、樹木葬への改葬の流れについて解説していきましょう。
家族・親族やお寺と事前相談
まずは、家族や親族と樹木葬への改葬について相談しましょう。自分は樹木葬を希望していても、家族の中には現在のお墓で弔いたいと強く思っている人もいる可能性があります。
また、墓石を管理しているお寺にも事前に相談しましょう。寺院が墓石を管理している場合、檀家を離れる際に離壇料を渡すのが一般的です。寺院に事前に相談していないと高額の離壇料が請求されるようなトラブルにつながる場合があります。
決して1人では決めずに、家族や親族、寺院と相談して改葬を進めていきましょう。
遺骨の移転先となる樹木葬の墓苑を決める
家族や寺院から同意を得られたら、移転先となる樹木葬の墓苑を決めましょう。まずは住んでいる場所から近く、お墓参りに通いやすい距離で選んでいきます。
樹木葬といっても霊園型、公園型、里山型などの種類があります。実際に現地に行ってみて樹木葬の雰囲気を感じることも大切です。費用も霊園によって異なってくるでしょう。
通いやすさに加えて、費用や供養方法の好みなども墓苑選びの参考にしてください。後悔しないように自分や家族が納得のいく樹木葬の墓苑を選ぶことが大切です。
受け入れ先が決まったら、新しい墓地の管理者から「受入証明書」をもらいましょう。改葬許可を申請する際に必要な場合があります。
現在のお墓の管理者から「埋葬証明書」をもらう
改葬先の樹木葬の墓苑が決まったら、改めて現在のお墓の管理者に報告し、「埋葬証明書」をもらいましょう。埋葬証明書には、現在の墓地に誰が入っているのかを証明する書類です。市区町村に改葬許可を申請する際に必要になります。
墓地管理者が寺院などの場合、先祖代々供養してきてもらった感謝の気持ちを伝えるといいでしょう。誠意が伝わることで寺院とのトラブルを避けられ、スムーズに埋葬証明書を書いてもらえます。
市区町村役場に改葬許可申請し「改葬許可証」をもらう
次に、市区町村役場で、改葬許可証をもらいます。改葬許可証に必要な書類や手数料は、自治体によって異なります。例えば、受入証明書は横浜市では必要なく、江東区では必要です。手数料も横浜市では無料ですが、霧島市では200円です。
ただし、改葬許可申請書を記入し提出することと埋葬証明書が必要なことは共通しているため、この2つの書類はきちんと用意しましょう。
改葬許可証は、現在遺骨がある市区町村に申請します。改葬先の市区町村ではないため注意してください。現在遺骨のある市区町村に必要書類を確認し、不備なく準備することで、確実に改葬許可証をもらうようにしましょう。
出典|参照:改葬(遺骨の移動)の手続き|横浜市
出典|参照:改葬許可証の交付申請について|江東区
出典|参照:改葬許可|鹿児島県霧島市
現在のお墓から遺骨を取り出し・墓じまいをする
改葬許可証を入手したら、現在のお墓から遺骨を取り出します。そして、現在のお墓を完全に撤去する場合は墓じまいをしましょう。墓じまいの際には、お墓から魂を抜く、魂抜きという供養を行います。これは閉眼供養、抜魂などとも呼ばれています。
魂抜きをした後で、墓石の解体・処分を行い墓じまいを進めていきましょう。今まで墓地として使用してきた土地を更地に戻してから、墓地管理者に返還する手続きを行うことで墓じまいが完了します。
樹木葬で納骨する
最後に改葬先の墓苑で納骨することになります。樹木葬の場合、納骨方法が墓苑によって異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。
例として、骨壺から出して埋葬する、骨壺ごと埋葬する、遺骨を粉骨してパウダー状にして埋葬するなどがあげられます。また、土の中に納骨するタイプとカロートと呼ばれる納骨室にあたるスペースに納骨するタイプにも分けられるため、こちらも事前に確認してください。
樹木葬へ改葬するときの注意点
樹木葬への改葬の手順を紹介してきました。ここからは改葬を進める中で特に気を付けてほしい注意点について紹介していきます。後々のトラブルを避けるためにもぜひ確認しておいてください。
家族やお寺とよく話し合う
家族でも、供養に対する考えは異なります。意見が異なる場合でも、なぜ樹木葬にしたいのか、樹木葬に改葬するメリットは何かなど、丁寧に話し合いましょう。話し合うことで、お互い納得のいく供養方法を探してみてください。
また、現在のお墓のあるお寺とも事前に相談しましょう。事務的に改葬を進めてしまうと、お寺とのトラブルにつながりやすくなります。今まで供養をしてくれた感謝の気持ちをもちながら、改葬が必要な理由を丁寧に説明してみてください。
遺骨の埋葬の仕方をよく考える
前述したように、樹木葬の埋葬の仕方は様々です。
遺骨を骨壺に入れてカロートと呼ばれる小さなお墓のような場所に埋葬するケースや、そのまま土に返すケースなど様々あり、きちんと確認しておかないと、後悔することにつながりかねません。
樹木葬とひとくくりにせず、埋葬方法や供養形式を確認して、納得のいく墓苑を選ぶようにしてください。
樹木葬への改葬のための費用相場は
樹木葬への改葬は供養の費用軽減につながります。しかし、改葬自体には費用がかかるため、その費用相場を確認しておきましょう。樹木葬への改装費用は主に、今までのお墓を処分又は遺骨を取り出す費用と、新しい供養先のお墓にかかる費用があります。
遺骨の取り出し・お墓の撤去などの費用
まずは、現在のお墓での遺骨の取り出しやお墓の撤去などといった費用がかかってきます。
主な費用としては、遺骨取り出しが骨1体あたり約4~5万円、閉眼供養が約5万円、墓石の処分が1㎡~あたり約10万円、離檀料が0~20万円ほど、などがあります。
お墓の中から遺骨の一部を移す場合と、お墓全体を撤去する場合では費用が大きく異なりますが、これは一部を取り出すのみだと、遺骨取り出しの費用しかかからないためです。ただし、お墓の維持費は今後も必要となってくるでしょう。
樹木葬の費用
樹木葬の費用相場は立地や埋葬方法などによって大きく異なります。例えば、家族ごとの個別型であれば50~150万円前後ですが、合祀であれば5~20万円前後と費用をおさえられます。
このように、同じ樹木葬でも費用が大きく異なるため、事前によく確認することが大切です。
自分に合う供養方法を選ぼう
樹木葬は、費用をおさえられ、後継者の心配もなくなるなど魅力的なメリットがあります。その一方で、自分や先祖のお墓がなくなることに抵抗のある人もいるでしょう。
事前に家族や親族に相談し、樹木葬への改葬をよく話し合い、納得いく供養方法を選べるようにしてください。しっかりと話し合い、必要な手順をおさえておくことで、トラブルなく改葬を進められるでしょう。
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