家族葬とは、“ご家族を中心とした、小規模なご葬儀”です。
ここ数年、ご葬儀に「家族葬」を選ぶ方が、増えています。ごく近しい方たちのみで見送るスタイルが人気を集め、多様化する価値観にもマッチしていると、広がりをみせています。

しかし、そのスタイルに明確な定義はなく、ご親族のみ数人で行うこともあれば、友人なども集めて、数十人規模で行う場合もあります。また、「シンプルな葬儀は、さみしくないのか」や、「自分に向いているのかどうか、わからない」といった声も、聞こえてきます。
あらかじめ家族葬について理解しておくと、そうした不安も少なくできるでしょう。

今回は、家族葬について、その理由やメリット、注意点などを、ご紹介します。

家族葬が選ばれる理由とは

最大の理由は、ゆっくりとお別れする時間があることでしょう。
参列者が少ないため、一人ひとりと向き合う時間が、つくりやすいといえます。

ここでは、他の理由についても、みてみましょう。

【ご遺族の負担が少ない】
一般葬では、故人様とのお別れに心を痛められていても、参列者への気配りなどが欠かせません。
しかし、近しい方だけなら、その分、気遣いも減らせ、落ち着いた対応が望めます。

最近では、故人様の高齢化により、友人などの参列者がいないケースも増えています。また、職場の定年退職後は、仕事関係者とのつながりも、希薄になっていることもあります。ご近所づきあいなども、昔ほど盛んではないかもしれません。

人付き合いが多様化する現代において、ご家族を中心とした、アットホームな雰囲気が、好まれているといえます。

【費用をおさえられる】

少人数で行うため、葬儀会場や祭壇などを、小さくすることが可能です。その分、ご葬儀にかかる費用を、比較的に安くおさえられるでしょう。一般葬では、葬儀会社に頼んでいた返礼品やお料理の手配なども、人数が少ないと、自分たちで準備することも可能になります。
そのため、家族葬は全体的に、コストダウンしやすいといわれています。

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【自由なご葬儀や演出がしやすい】
一般葬とは違い、参列者が近しい方ばかりだと、あまり儀礼にとらわれずに、進めることができます。たとえば、「一日葬」などが代表例として、挙げられます。
ご親族に高齢者がいたり、遠方から来られる方がいたりすると、ご葬儀への参列が大変な場合があります。そのため、お通夜をせずに簡素化することで、ストレスを少なくできます。

また、一般葬に比べると、自由な演出も取り入れやすいでしょう。仏式で進めるなかでも、自由葬のように、音楽演奏で見送るといったことも可能です。
そうした演出も、お互いに気心の知れた仲であれば、受け入れられやすいといえます。ご葬儀をより思い出に残るものにしたい方には、おすすめでしょう。

家族葬の注意点

家族葬には、費用面やご葬儀の簡素化など、現代のライフスタイルにあわせたメリットがあります。
その一方で、後々、トラブルになるケースもあります。

どのような点に注意すればよいのか、みてみましょう。

【ご親族の理解】
地域や宗派、ご親族などによっては、一般葬が当然だという方もおられます。故人様の意志を尊重しても、なかには、快く思わない方もおられるかもしれません。
ご葬儀が終わってから、「きちんとお別れをしたかった」、「なぜ声をかけてくれなかったのか」と、怒りや悲しみを向けられるケースもあります。

そうした事態を避けるためにも、家族葬には周りの理解が欠かせません。
トラブルを避けるためにも、あらかじめ、ご親族などにも相談しておくと良いでしょう。

【弔問客への対応】
ご葬儀に参列されなかった方が、ご自宅などに弔問に訪れる可能性があります。弔問客の人数が多いと、それだけで対応が大変な場合があります。
また、故人様との人間関係や立場など、ご遺族が把握していないケースもあるかもしれません。対応に失礼がないようにと思うことが、ストレスの原因になる恐れもあります。

そうしたリスクを減らすためにも、ご葬儀に呼ぶべき方に、きちんと声をかけられるよう、ご家族にも希望を伝えておきましょう。

【追加費用の有無】
家族葬が増える理由の一つに、低価格があります。しかし、葬儀会社やプランによっては、追加費用がかかる場合があります。基本料金は安くても、細かい点が曖昧だと、追加費用を求められるケースも珍しくありません。また、参列者が少ない分、香典の額も限られています。その分、ご自分で持ち出す費用が増えてしまいます。

ご予算に応じたご葬儀を行うためにも、できるだけ明確な料金設定をしている業者を探し、当日の段取りなども、事前に確認しておきましょう。そうすれば、想定外の支出を、減らせるのではないでしょうか。

疲れないご葬儀を

大切な方を失くされたあとのご葬儀は、とても大変で辛いものですよね。
悲しみに向き合う余裕もなく、あわただしくお別れのご準備に、追われてしまうこともあります。
あとで振り返ったときに、「もっとこうしておけば…」といった後悔が残ると、精神的にも疲れてしまいます。ゆっくりとしたお別れの時間を持つことは、こうしたご遺族の心残りも、減らせるのかもしれません。

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