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お彼岸の帰省は、ご先祖さまに感謝を伝えるだけでなく、家族が集まり、普段は切り出しにくい将来のことを話し合える大切な時間です。近年は、家の補修や荷物整理、お墓や葬儀の準備、金融口座の見直しなど、事前に確認しておくべきテーマが増えています。早めに相談しておくことで、いざという時の安心や家族の負担軽減につながります。今年のお彼岸は、温かな団らんのひとときを未来への備えにつなげる絶好の機会です。ぜひ身近な話題から始めて、将来を見据えた会話を広げてみてください。
【1】家の補修やリフォームについて

【親世代のポイント】住み慣れた家を安心して暮らし続けるために
長年暮らしてきた家は、思い出が詰まっている大切な場所である一方で、経年劣化は避けられません。屋根や外壁のひび割れ、配管の老朽化、玄関ドアの不具合、浴室の床の滑りやすさなど、小さな変化が大きな事故や生活の支障に直結することもあります。特に高齢期になると、段差での転倒や冬場のヒートショックといったリスクが高まるため、家の状態を見直すことは「暮らしの安全」を守る重要な備えです。「まだ大丈夫」と思って放置してしまうと、修繕費用が膨らんだり、緊急工事で余計な負担がかかることも少なくありません。早めに点検し、必要に応じて手を入れておくことが、結果的に安心と節約につながります。
★住み慣れた家を安心して暮らせる空間に整える意識を。
【子世代のポイント】気づきを伝え、具体的な一歩を一緒に
帰省時は、普段見落としがちな不具合に気づける貴重なタイミングです。「ドアが重いね」「水回りがちょっと心配だね」と声をかけることが、親世代に行動を促すきっかけになります。その際、単なる指摘で終わらせず、「自治体のリフォーム補助金を調べてみよう」「写真を撮って業者に見てもらおう」と具体策を一緒に提示することが大切です。また、修繕やリフォームは大掛かりに考えがちですが、まずは手すり設置や段差解消といった小規模な工事から始めれば、心理的ハードルも下がります。子世代が主体的に調べて情報を共有することで、前向きに進めやすくなり、親子で安心な暮らしを築けます。
★補助金や制度を調べ、実行の後押しを。
【2】家財道具や想い出の品の整理

【親世代のポイント】住み慣れた家を安心して暮らし続けるために
長年暮らしてきた家の中には、思い出とともに積み重なった家具・家電・衣類・雑貨が数え切れないほど存在します。
親世代にとってはどれも「捨てられない大切なもの」ですが、実際には使わないまま押入れや物置に眠っているケースも多いものです。
しかし物が多いと、転倒リスクが増える、掃除が行き届かない、災害時に避難経路をふさぐ、といった実生活への不安が生まれます。
特に高齢になると体力的にも整理や掃除が難しくなり、「やらなければ」と思いつつもつい先延ばしにしてしまう方が少なくありません。
整理は「思い出を手放す」のではなく、「必要なものを選び直す」作業です。たとえば「日常生活で実際に使うもの」「見て心が和むもの」だけを残す、といった基準を設ければ、無理なく前に進められます。親世代にとっては心の整理を伴うデリケートな作業だからこそ、焦らず一歩ずつ進めることが安心につながります。
☆物を減らすことは暮らしを軽くし、安心・安全な生活につながります。
【子世代のポイント】将来を見据えた「遺品整理」の前倒し
子世代にとっても、親が遺した物の整理(遺品整理)は避けて通れない課題です。
近年「生前整理」という考え方が注目されているのは、親と一緒に物の整理を進めることで、 残された家族が将来途方に暮れないようにするためです。
例えば衣類やアクセサリーなど思い出深い品は、どれを残すか、どれを手放すかを親と一緒に話し合うことで 「勝手に処分してしまった」という後悔を防げます。
また写真や手紙はデジタル化すれば、物としては減らしながら思い出は残すことができます。
さらに実務面では「処分」「譲渡」「寄付」「リサイクル」など複数の選択肢を用意すると、親も手放しやすくなります。
近年は不用品回収業者、生前整理の専門業者、自治体による回収支援などサービスも多様化しているため、 信頼できるサービスを比較・検討しておくのも安心です。
★一緒に進めることで「遺品整理」を前倒しし、感情面・実務面の負担を軽減しましょう。
【3】永代供養や墓じまいの相談

【親世代のポイント】後世に負担を残さない準備が必要
「お墓を守る人がいなくなる」という不安は、多くの家庭にとって現実的な課題です。特に遠方に住む子世代にとっては、 墓参りや管理の継続が難しくなるケースが増えています。
そこで墓じまいや永代供養を選択することは、子や孫に負担を残さない 「思いやりの準備」となります。
費用は地域や墓地の規模によって差がありますが、一般的な相場は30万~100万円程度。内訳は「石材の解体・撤去費用」 「遺骨の取り出しと再安置費用」「行政手続き代行費用」などです。加えて、新しく永代供養を依頼する場合は、 1霊あたり10万~50万円前後が目安となります。親世代が早めにこれらの費用感を把握し、準備しておくことで、子世代の心理的・経済的負担を大きく減らすことができます。
★墓じまいや永代供養の検討は「家族への思いやり」費用相場を把握して早めに準備を。
【子世代のポイント】手続きの流れを理解して、親の希望を具体化する役割を。
墓じまいを進める際には、行政や寺院との調整が不可欠であり、子世代がその流れを理解しておくことで、親の希望をスムーズに形にすることができます。一般的な手順は以下の通りです。
1)親族間で合意形成
まずは親族全員が納得することが大前提。子世代は「なぜ墓じまいを考えるのか(後継者不在・距離の問題・費用の負担)」を整理し、親族に分かりやすく説明する役割を担います。
2)改葬許可申請の手続き
市区町村役場で「改葬許可申請書」を提出します。その際には受け入れ先の霊園や寺院から「受入証明書」が必要です。子世代が書類の準備や提出を手伝うことで、親の負担を大きく減らせます。
3)墓石の撤去・遺骨の取り出し
石材店や専門業者に依頼して墓石を撤去し、遺骨を取り出します。費用は数十万円かかることが一般的で、業者によって差があるため、子世代が複数社に見積もりを依頼して比較するのが安心です。
4)新たな安置先への納骨
遺骨の受け入れ先は、合同墓・個別墓・納骨堂などさまざま。費用や立地、将来的な管理のしやすさを比較しながら、親の希望を尊重して選びましょう。子世代がこの流れを理解し、情報収集や手続きを支援することで、「親の思いを尊重しながら、現実的に進められている」という納得感が生まれます。これは親にとっても子にとっても大きな安心につながります。
★行政手続き(改葬許可申請・受入証明書など)や費用感を理解し、親の意向を尊重しましょう。
【4】金融口座や契約の整理

【親世代のポイント】後世に負担を残さない準備が必要
銀行口座や保険契約、クレジットカード、携帯電話やサブスクリプションなど、 契約は複雑になりがちです。親世代にとっては「どこに何があるか」を把握しているつもりでも、 いざ家族に伝えるとなると意外に整理できていないことが多いのです。 もし突然の入院や相続の場面で家族が探し回ることになれば、大きな負担となります。
そこで、まずは口座・保険・契約ごとの一覧をエンディングノートやエクセル表にまとめ、保管場所も家族に知らせておくことが安心につながります。
★残された家族が困らないように「見える化」を順守
【子世代のポイント】デジタル時代の「名もなき契約」を見逃さない
子世代にとっては、親の契約を把握することが将来のトラブル回避につながります。
特に近年はオンライン銀行やスマホ決済、 動画配信サービスなど「名もなき契約」が増えているため、親が気づかぬまま払い続けているケースもあります。
帰省時に「今どんな契約がある?」と一緒に棚卸しを行い、不要な口座やサービスを解約すれば、日々の支出も減らせます。 エンディングノートや「デジタル遺品管理アプリ」を活用するのも有効です。
★隠れた契約や支出を把握し、将来の負担を軽減。
【5】葬儀・ペット葬について話し合う

【親世代のポイント】自分らしい最後を準備しましょう
葬儀のスタイルは従来の「一般葬」だけでなく、家族葬や直葬、音楽葬など多様化しています。
「自分はこういう形で送り出してほしい」という意思を事前に伝えておくことは、 残された家族にとって大きな支えになります。また、近年は「ペット葬」も広がっており、 大切な家族であるペットの供養方法を考えておくことも安心材料の一つです。
費用や式場、宗派など、事前に見積もりを取って比較しておくと現実的に考えやすくなります。
★「自分らしい送り方」「ペットの供養方法」を早めに意思表示。
【子世代のポイント】いざという時に備え、負担を軽減する。
葬儀やペット葬は突然の出来事としてやってくることが多く、準備がなければ心身ともに大きな負担となります。
子世代が早めに「どういう葬儀を希望しているの?」と切り出すことで、親の希望を尊重しながら具体的な選択肢を把握できます。
また、ペット葬は葬儀社や動物霊園など選択肢が多岐にわたり、費用も葬儀の種類や個体によって1万5千円~10万円近くと幅があります。
こうした情報を整理しておけば、悲しみの中でも冷静に対応できます。
★希望や費用を把握しておけば、いざという時の負担が軽減します。
お彼岸を「未来への準備」のきっかけに

お彼岸の帰省は、ご先祖さまに手を合わせるだけでなく、家族のこれからを考える大切な時間でもあります。
今回ご紹介した 「家の補修やリフォーム」「物の整理」「お墓の準備」「金融・契約の整理」「葬儀・ペット葬の相談」は、 どれも避けては通れないテーマです。 親世代にとっては「安心して暮らし続けるための備え」、子世代にとっては「将来の負担を減らし、納得感を持って選ぶための準備」となります。
どのテーマも一度に解決する必要はありません。帰省という自然な場を活かして、少しずつ話し合いを進めていくことが、結果的に大きな安心へとつながります。